シモーヌ・ヴェイユ~フランスに最も愛された政治家~

フランスの児童福祉を学んでいく中では、何度も何度もシモーヌ・ヴェイユの名前がでてきます。私自身、その生き方を知れば知るほど尊敬の思いがあふれ出ます。
シモーヌ・ヴェイユはフランスの政治家で、2017年に亡くなるまで、弱者の尊厳を守るため、戦い続けました。パリオリンピックの閉会式でセーヌ川沿いに並べられた10人の女性黄金像にもなっていましたね(今はパリの国民議会の中庭に展示されているようです)。
私が何を語るより、この映画を見てほしいのですが、シモーヌ・ヴェイユはホロコースト体験者です。
映画の中で描かれる当時の描写は、映画であるにもかかわらず、心が痛み、動悸がするほどでした。ぜひトレイラーだけでも見てほしいです。
16歳でアウシュヴィッツに収容された、その記憶が何度も何度もよみがえり、辛い思いに浸かってしまうことを避ける状況ができない中でも、あきらめることなく、屈することなく、心を強く保つのです。
すごくややこしいのですが、日本でシモーヌ・ヴェイユについてインターネット検索をしてみると、この政治家のシモーヌ・ヴェイユともうひとり、哲学者のシモーヌ・ヴェイユがでてきます。どちらもユダヤ人ですが、別人です。
哲学者のシモーヌ・ヴェイユはこう言っています。
たとえ、歳月を重ねた奮闘努力が、少しも報われないと思える時でも、いつの日か、その努力にちょうど見合うだけの光が、あなたの魂にみなぎるものです
この言葉には、私も勇気をもらいます。
奇しくも政治家のシモーヌ・ヴェイユもきっと、努力に見合った光が魂にみなぎるそのときを、たくさん経験したのではないかと思います。
私たちが子ども時代に体験したしんどさには、経験しなくてもいいなら、経験しない方がいいこともたくさんあったでしょう。
親の離婚とか、虐待とか、貧困とか、大災害とか、自分たちにコントロールできないものなんて山ほどあったのです。
ホロコーストだって、本当に理不尽です。理不尽なんて言葉で表すのも薄っぺらすぎるくらいでしょう。
けれども、今を生きる私たちは、未来をつくっていかなければいけないのです。
パランパルミルのように「近くの頼れる大人」と子どものパレナージュをおこなう制度の普及に貢献したのも、シモーヌ・ヴェイユです。
70年代に保健大臣を務め、女性と子どもに関わる大改革をおこないました。
彼女は、保育を専門職による積極的な教育の場として誰でも利用できるようにしました。妊娠・出産に必要な医療や無痛分娩を誰でも無償で受けられるようにもしました。さらには、養子縁組や里親制度の整備、親子がいつでも無料で精神科医や心理士と話しに行ける場所の開設などもおこなっています。
シモーヌ・ヴェイユの存命時からいくつもの研究がなされ、継続的な愛情を受けられる<親と競合ではない大人の支え>が専門職の支えと並行してあることが、子どもの成長にとってとても有益だと示されました。
1960年からおこなわれたこの取り組みは、すべての家庭が利用することができますが、2022年からはすべての要支援、要保護の子どもに対してはとりわけ、児童相談所が利用提案することが義務づけられたのです。
シモーヌ・ヴェイユのお母さんは被収容者の強制移動「死の行進」の後、ベルゲン=ベルゼン強制収容所にたどり着いた後、チフスで亡くなりました。
日に日に衰弱していく中でお母さんがシモーヌ・ヴェイユに伝えた言葉が印象的でした。
「人にやさしく」
「人を傷つけてはならない」
ここまで人間の罪に痛めつけられたにもかかわらず、娘にこのことを伝えた母の愛が、娘の働きを通じてこうして全世界に伝えられていることにも、辛さや痛み、やるせなさの間にある『光』を感じずにはいられないなと思うのでした。

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