フランス視察記2

フランス視察記2

長時間フライトで半べそをかいた往路から一夜。
日本から持っていったお米でお茶漬けを食べて、シャワーを浴びて(硬水だから日本のシャンプーだとバリバリになるよという情報もありましたが、思いのほか大丈夫でした!)、りふれーっしゅ!!!
そして体を伸ばして寝られるって最高!!
快適な1泊目でした。

そして朝ごはんが出るということで朝食会場へ。

エレベーターは0階が日本でいうところの1階、1階が日本でいうところの2階になっていて、若干慣れるのに時間がかかります。(自分の部屋が2階だったので、日本の感覚で「階段でいいや~」と思って行ったら3階レベルに上がらされて無駄に疲れる、というのを初日にやりました)

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ちなみに地下はマイナス表示になるみたい

「朝食は絶対フランスパンでしょ!」とは思っていたのですが、会場に入ると美味しいパンの匂いに一気に食欲がそそられます。

バケットは自分で好きなだけ切って食べるスタイル。バターは無塩と有塩から選べます。

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日本でいうところのコメのような袋に大量にバケットが入っています。

コーヒーマシンとシリアル、ケーキにパンなど炭水化物ばかりではあるのですが、とりあえずとってしまうというバイキング形式の罠・・・(笑)

どれもシンプルながらとっても美味しかったです。

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コーヒーマシンのラテがやたら美味しかった

そうして腹ごしらえをしたら視察のスタート。

視察1件目は、今回私たちがやろうとしているパレナージュ・ド・プロキシミテに取り組むパランパルミル。
私が15年前NHKで見て感動し、「これを日本でやりたい!!」と思い立つきっかけになったあの場所に、まさか行けることになるとは。機会に感謝です。


まず、宿泊先近くのメトロのラヌラグ駅へ向かいます。前日安發さんにチケットの買い方も教えてもらったのでばっちり。

パリはスリが多いということなので、各自気をつけようね~と言い合いました。(安發さんに「先に近づいてくる人の目を見たり、周りを見たりしてある程度警戒している雰囲気を出してたら、だいたい大丈夫」というアドバイスをもらいました)

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安發さんと待ち合わせ

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朝のメトロは日本と同じく混んでいる

向かうのはブゼンヴァル駅。

ラヌラグからは23駅ありましたが、フランスと日本の児童福祉のあれこれを話していたら、あっという間に到着しました。

そして駅から歩くこと5分……

PPMの文字が!うわ~~~~、いよいよ来たんだ・・・・!と感動。

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可愛い!

15年前に見た番組で紹介されていた時と表札は変わっていましたが、場所は同じのようです。

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現在のパランパルミルの表札

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15年前の表札

出迎えてくださったのはDirectrice GénéraleのDelphineさん。

まずはオフィスの地下に案内してくれました。

この階段が結構怖い・・・(笑)この人数全員が降りたらヤバいんじゃないか?ということで少人数ずつゆっくり降ります。

これ、オシャレだし、子どももアスレチックみたいで楽しいかもだけれど、日本だとちょっと安全性の指摘が入るかも?(笑)

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ちょっと怖い螺旋(?)階段

地下は主に子どもと面談をしたり、子どもとマッチングされる地域の大人の方が初めて交流したりするのに使うスペースということです。

子ども・子どもの養育者・地域の大人が、どのようにサポートのプロセスを進んでいくのかが掲示されていて、全てを丁寧に説明してくださいました。

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プロセスについて説明を受ける

子どもの養育者と地域の大人には、子どもとマッチングされる地域の大人の役割は決して「父母の代わりではない」ということについて最初に説明がなされます。

これは、パレナージュ・ド・プロキシミテの目的が、マッチングされる地域の大人がベビーシッターのように子どもの送迎の役割を担ったり、子どもに関する教育的な決定をくだしたりするものではないということを意味します。

子どもの養育者と地域の大人が信頼関係を構築し、家族や親子関係をを尊重しながら子どものために最も良いことを一緒に考え実践していくパートナーシップを組んでいくのです。

地下のスペースには子どもが自分を表現しやすく、過ごしやすくするための工夫がたくさんされています。

自分の気持ちを「天気」として、どんな天気かを話してみたり、感情を表すカードで伝えてみたり。

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訪問時はIBRAHIMくんのお天気が

のんびり面談ができる明るいお部屋も。ウィーズと同じく緑がふんだんに使われているのがなんだかうれしかったです。

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地域の大人と一緒に簡単なお料理や食事ができるスペースもありました。

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印象的だったのは、粘土やお絵描きなど「表現」のためのおもちゃや道具がたくさん置かれていたことです。

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フランスは子どもの権利条約にある

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について、「一番の関心」と捉えられています。日本では「最善の利益」と訳されているところです。

子どもの関心はかならず表現がなされます。身体や表情に出たり、目の動きや行動などにあらわれることもあれば、言葉や絵、音楽などにあらわれることもあります。それらを面談するメンバーたちはキャッチできるようにする必要があるのです。

「表現」を重視しているフランスらしい空間の作りだなと思いました。

次に、2階のオフィスフロアへ。

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運営メンバーのみなさん

ウィーズでは、日本でパレナージュ・ド・プロキシミテをすすめるために、この一年いろいろと調査をしたり、ヒアリングをしたりということを重ねてきたのですが、いろいろなところで『暴力的だったり、威圧的だったりする大人が来た場合にどう制御するの?』という懸念が聞かれました。

それもあって、女性ばかりだったことに私はちょっとびっくり。

この時はたまたまお休みでいらっしゃらなかったですが、男性スタッフもいますよ、と言いつつ、Delphineさんは『でも、モンスターペアレントなんていませんよ』と仰っていました。
互いに子どもにとって良いことをしようとしている、という意識があるため、基本的には協力的な親たちであり、養育者への信頼を持たれているということが伝わってきました。逆の『市民の専門職に対する信頼の高さ』もあるようです。


パランパルミルの運営は国の児童保護分野からの資金で賄われており、パレナージュ・ド・プロキシミテを行う団体が様々にある中では『質の確保』に力を入れている点と、パリでもっとも多くの子どものパレナージュを担っていることが特徴だそうです。

質を高めるために、オンラインは利用せず必ず対面で子どもにも会って面談をしたり、人件費をしっかりと確保したりという努力をされています。その分、他団体よりコストがかかるため、より安いところに委託事業がとられてしまうようなこともあるそうですが、子どもたちに繰り返し難しい経験をさせることのないように信念を持って取り組んでいるということでした。

Delphineさんがパランパルミルに参画された9年前には、登録する地域の大人から年会費をもらっていたそうです。先述の日本のテレビ番組でも、年会費5,000円をもらっていると紹介されていました。

しかし、今は年会費も無料。
それは、お金ではなく時間を分けるという考え方に基づいており、子どもたちにとって『お金がなくても自分に時間を使ってくれる人がいる』という価値を感じてもらえるように、そして地域の市民にも『自分でも何かできるのでは』と思ってもらえるように、という願いが込められているそうです。
(ウィーズの親子交流支援を無料化した理由と似ていて、これも嬉しかったです)

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地域の大人と子どもが時間を過ごす様子①

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地域の大人と子どもが時間を過ごす様子②

ちなみに、利用されるご家庭の87%は親の離別を経験した家庭ということで「ウィーズが接点をもつご家族と同じかもしれないね」と仰っていただきました。42%が児童保護の経験が全くない子どもたちということで、幅広い子どもたちが利用していることもわかりました。(ただしフランスでは児童相談所や児童養護施設、里親家庭にいる子どもたちだけがいわゆる「社会的養護下の子ども」ではなく、親御さんの病気や不登校などの何か心配な状況があって在宅教育支援を受けているといった子どもにも児童保護分野の支援が行き渡っています)

また、地域の大人として登録したいという応募は随時あるそうですが、選考されて残るのは半分くらい。平均42歳で、78%が女性。本業を持たれている方がほとんどのようです。

安定的に多くの子どもたちのマッチングをおこなえるように、広報の取り組みもしっかりとおこなっており、活動の内容をどうしたら子どもたち、親たち、一般社会の人たちに届いていくかを専門で考える『アニメーター』と呼ばれる国家資格を持つ方が、デザインやSNS運用なども戦略的になさっていました。

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ポップな団体缶バッジ

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アニュアルレポートも団体カラーで制作されている

視察の最後には、パリの支部長をされているChloéさんも参加してくれました。

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Chloéさん(左)

エントランスを入ったところにあるミーティングスペースでお話してくれたのですが、フランスの定番お菓子シュケットと、おいしいお茶で歓迎してくださいました(パン系がおいしすぎてやばい)。

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パリでは350組のパレナージュが進行中であり、現在約40名の子どもと地域の大人が、これからはじまる交流を待機している状況だそうです。
障がい分野やひとり親家庭分野、難民分野などさまざまに得意分野を持つスタッフ7人で力を合わせてマッチングとその後のモニタリングをおこなっているとのこと。Chloéさんも幼児エデュケーターの資格をもっているということでした。

パリでは35年近く活動しているので、自立ができる(パランパルミルが入らなくても自分たちで関係を維持できる)ペアも多く、ほとんどが3年ほどでパランパルミルの介入を卒業するそうです。とはいえ、子どもが思春期に入ったなどで状況が変わったときには地域の大人をサポートすることもあるとのこと。

1:1で子どもと地域の大人をマッチングすることには当然難しさもあるということですが『人間関係だからトラブルは当然』とChloéさん。

そのトラブルを最小限にするためにも、最初に地域の大人と子どもの養育者に伝える『地域の大人は父母の代わりではない』には『親が親であることは変わらない』ということが含まれており、実際にマッチングされた後こそ、地域の大人は親や子どもを教育する立場ではないという点が非常に大事なようです。

地域の大人が養育者より優位に立とうとしないように。
養育者が「地域の大人に子どもをとられる」と感じてしまわないように。

たとえば、裕福層しか行けない場所に連れて行くなどを地域の大人が頻繁にしてしまうことがないよう、子どもと交流するときは無料でできるアクティビティを紹介したり、お金やモノによって関係性のバランスが崩れることがないよう、誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントは養育者と事前に相談することを必須としたり。
事前にしっかりと説明しておくことでスムーズにこれらにも理解が仰げるとのことです。とにかくパレナージュは『時間をシェアして、子どもたちが楽しい時間を過ごすのが目的』なのです。


視察の最後に『この活動をしていてやりがいを感じるのはどんなところですか?』とお二人に尋ねました。

Delphineさん『養育者や地域の大人、資金集めのための広報など、子どもの方を向けるように大人を説得しなければいけない機会は多いけど、それでも子どもが開花するのを感じられる毎日はとても楽しい』

Chloéさん『フォローしていた子が地域の大人として活動し、子どもと遊んでいる写真を送ってくれた時、とても嬉しかった。シャボン玉みたいに小さい良い空気をたくさん生み出していくのが私たちの活動。』

とお話してくれました。1:1で関わってもらうというハードルを越えた先にある、子どもが「地域の頼れるおとなを知っている」という体験を生むために、大人たちが『私がこの子に責任を持つ』ということを分かち合い、手を取り合っていく、このパレナージュ・ド・プロキシミテの仕組みが、改めて素敵だなと思いました。

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お二人とウィーズのみんなで

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ぜひまた会いましょう!というお話をして、パランパルミルの本部を後にしました。本当に、来られてよかった。

そしてこの時点で時間が結構押していたので、昼ご飯をさっさと食べて次へ向かうぞ!と小走りで出発。

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昼ご飯のこのラビオリがめちゃ美味しかった(また炭水化物)

この次の視察はプレスクリプター、ヴァル・ド・マルヌ(行政)のみなさんのところです。パランパルミルなど、パレナージュ・ド・プロキシミテを行う団体への行政委託事業の「委託元」ですね。

ここのお話については、また次回書きたいと思います。

★Special Thanks★
本事業に助成をいただいているみてね基金さんよりカメラマンを派遣いただき、パランパルミルの視察時には視察の様子について写真撮影をしてもらいました。ありがとうございました。